(c) Naoko Tamura
公演は終了いたしました。ご来場ありがとうございました。
新作「アンティゴネ」
作: ソポクレス
訳: 柳沼重剛
構成・演出: 宮城聰
作曲・演奏構成: 矢野誠

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野外劇の魅力 ―― 演出家より
 東京の芝居や踊りは、江戸時代に芝居小屋の中に入ってからこのかた、すっかり飼いならされてしまいました。人の感覚を根底から変えてしまうような芝居の魅力は、いつの間にか「安全の保証された非日常」程度のものに成り下がりました。いま大都市の劇場で演じられているあまたの悲劇は、その実、喜劇として生き延びているに過ぎない、と言えないでしょうか?
けれど2000年夏に『オイディプス王』を上演した際にわれわれが強く感じたことは、都市生活者にこそ、祝祭としての演劇(=悲劇)が必要だ、ということだったのです。
悲劇とは(決して悲しい劇という意味ではなく)「人はなぜか必ず死ぬ」という決定的な理不尽を突きつけてくる劇のことです。人間は、いくら知恵をたくわえ自然界をコントロールしたつもりになっても、死と誕生のふたつには、どうしても手が届きません。ところが、生産にかまけ、自然を自分の都合のいいように利用しているうちに、人は死と誕生への畏怖を忘れ、「死ぬ存在」としての人間のいとしさを忘れてゆきます。
 ギリシア悲劇に登場するのはこうした人物たちです。そしてこの古代の劇は(驚くべきことに)、その人がいかに富や地位に恵まれていようとも、この種の鈍感がしまいにはその人を破滅させてしまうのだ、と喝破(かっぱ)します。しかもそれを、教訓としてではなく、「祭り」として、体験させてくれるのです。たしかに都市に暮らす人間は、放っておけばどんどん身体感覚が閉じてきて、他者を「ひとつの生命体」として受け止めるセンスを失わざるをえません。だからこそ2500年前の先進都市アテネの市民たちは、毎春、悲劇のフェスティバルを催してみずからもコロスとして出演しながら、「死ぬ存在」としての人間の、その生命の輝きと、まっこうから向き合おうとしたのでしょう。
 そして今こそ。壁に囲われていない野外で、大樹や名建築の発するオーラの中で、そして2500年間を生きつづけてきた奇跡のせりふを聞きながら、ぜひ、ク・ナウカの俳優たちの、生命の炎のいとしさを、目の当たりになさってください。きっと都市生活で閉ざされていた身体の感覚が奥底から呼び覚まされ、悲劇こそが生命の賛歌にほかならないことを実感していただけると思います。
宮城 聰
新作「アンティゴネ」のギリシャでの初演に先立ち、プレビュー公演が、BankART 1929 Yokohamaにておこなわれました。
■ク・ナウカ『アンティゴネ』プレビュー公演■
 作=ソポクレス 演出=宮城聰 作曲/演奏構成=矢野誠
●日程
 6 / 3(木)19:00開演 
 6 / 4(金)19:00開演 
 6 / 5(土)18:00開演
 6 / 6(日)15:00開演
●会場
 1929ホール(BankART 1929Yokohama
 [交通]横浜みなとみらい線「馬車道駅」下車 1b出口直結
     JR「桜木町駅」徒歩5分

→ BankART1929ホールにて大宮勘一郎氏による公開レクチャー
(2004.5.17/テキスト)

7月1日(木)
ギリシャ・デルフィ古代競技場
INTERNATIONAL MEETING ON ANCIENT GREEK DRAMA
SOPHOCLES 2500th Anniversary from his birth

10月2日(土)・3日(日)
北九州芸術劇場・中劇場

10月8日(金)〜20日(水)
東京国立博物館 本館前野外特設舞台
10月 8日(金)20:00開演  ※ユースデー(30歳未満のための低料金公演)
  9日(土)19:30開演  
  10日(日)19:30開演  
  11日(月)19:30開演  ※英字幕つき上演
  12日(火)休演日  
  13日(水)19:00開演  
  14日(木)19:30開演  
  15日(金)20:00開演  
  16日(土)19:30開演  
  17日(日)19:30開演  
  18日(月)19:30開演  ※英字幕つき上演
  19日(火)19:30開演  
  20日(水)19:00開演  

※上演時間約80分
※開場は開演の15分前、受付開始は開演45分前
※雨天決行
○一般前売開始 8月29日

チケット予約フォームへ

■チケット
前売・予約 4,300円
当日 4,500円
学生 2,500円(劇団のみ取扱・要予約・当日学生証提示)
ユースデー(10/8) 30歳未満 3,000円
団体(10名以上) 4,000円

*入場整理番号つき自由席
*東京国立博物館平常展入場券つき
(ぴあ、e+、当日支払の方は、公演当日受付にてお渡しします)
*ユースデー(10/8)の30歳未満のチケットでご入場のお客様には、入場時に年齢を
証明するもののご提示をお願いする場合がございます。予めご了承ください。

■チケット取扱
・ク・ナウカ
03-3779-7653
http://www.kunauka.or.jp (チケット予約フォームへ
[→チケットの購入方法]

・電子チケットぴあ
0570-02-9988(オペレータ対応)
0570-02-9966(音声自動応答)
http://t.pia.co.jp
[Pコード:356-361]

・e+(イープラス)
http://eee.eplus.co.jp

・東京国立博物館正門観覧券売場窓口(窓口販売のみ)       

■出演
美加理、阿部一徳、吉植荘一郎、中野真希、大高浩一
萩原ほたか、本多麻紀、大内米治、片岡佐知子、鈴木陽代、牧野隆二、
関根淳子、赤松直美、奥島敦子、たきいみき、藤本康宏、布施安寿香、
山本智美、池田真紀子、大沢由加子、杉山夏美、黒須幸絵、末廣昌三、
本城典子 / 久野歩、高澤優也

■スタッフ
照明 大迫浩二
衣裳 高橋佳代(アトリエチワワ)
音響 AZTEC
舞台美術原案 木津潤平
ヘアメイク 梶田京子(レ・サンク・サンス)
舞台監督 川上大二郎
宣伝美術 梶木一郎 野中春江
WEBデザイン 井上竜介
制作 久我晴子 田中美季


主催 ク・ナウカ シアターカンパニー
共催 東京国立博物館
後援 ギリシャ大使館
共同製作 北九州芸術劇場(北九州公演)

平成16年度文化庁芸術団体重点支援事業
東京都芸術文化発信事業助成

平成16年度文化庁芸術祭参加