斬新な解釈、有無を言わせぬビジュアル、圧倒的なパーカッション――
『王女メデイア』は99年秋に北九州演劇祭で初演されたク・ナウカの新しい代表作です。
古代ギリシアの英雄イアソンとその妻メデイアをめぐって繰り広げられる壮大な「子殺し」の悲劇を、明治時代の日本に舞台を移し、歓楽街の座興で演じられる劇中劇として再現します。
せりふを語るのはすべて男。その言葉に操られるように動く女たち。ク・ナウカが十年間追求してきた語りと動きを分ける“二人一役”の手法がストーリーと密接に絡み合い、やがて言葉の支配をくつがえすかのように女たちの反乱が始まります――。
語り、動き、生演奏の三位一体がつくりあげる、ク・ナウカ以外のどこにもない陶然たる演劇体験。祝祭としての悲劇の魅力を、ぞんぶんにお楽しみ下さい。
地上最後の権力、それは美です。
『王女メデイア』はク・ナウカの中でいちばん面白い作品です。
いままでなんとなくク・ナウカを見逃してきた方は、ここからご覧下さい。
(宮城聰)