Ku Na'uka Theatre Company
Teater Garasi from Indonesia 『ワクトゥ・バトゥ〜百代の過客〜』 Waktu Batu #3
演 出 : ユディ・タジュディン Yudi Ahmad Tajudin
出 演 : テアトルガラシ

  2006年4月21日(金)〜4月24日(月)
  森下スタジオCスタジオ

本公演は、終了いたしました。
ご来場ありがとうございました。


インドネシアのテンプテーション
宮城 聰

 ユディがやってくる。誘惑者たちを引き連れて。南緯8度の古都から。
 僕は彼に会うたびに魅了されてきた。彼の寛容と謙虚に接すると、欧米にはこうした人間はいない、これはまさしくアジア人の魅力だ、と思わずにいられない。そして(僕自身の不寛容と傲慢を棚に上げて)アジア人である自分までも誇らしく思えてくる。
 さらに、その年齢の若さに驚き、次に年齢の割にはとても長い演出キャリアに驚く。なぜそんなに早くから演劇に関わったのかと尋ねた時の彼の答にまた驚く。彼はかつて不良少年で、その矯正のために演劇施設に入れられたのだ!
 なんて格好良いんだ。それであの優しさなのか!

 ナマで見ることが僕の宿願だった彼らの代表作『ワクトゥ・バトゥ』を、ついに招聘できることになった。ほんとうにもう、これはひとりでも多くの方に見ていただきたい傑作だ。どこよりも早く“多様であること”に価値を見いだし、それを自国のウリにまでしたインドネシアという「多様性先進国」、そこから生まれた『ワクトゥ・バトゥ』はまさに現代世界へと放たれた最先端の希望の矢なのだ。

 そのあと、ク・ナウカと彼らのコラボレーションで新作を作る。ユディに、じっくり7週間の稽古期間を割いてもらった。嬉しいことだ! 身体表現に著しく比重のかかるユディの舞台で、美加理ほか日本の俳優たちがどこまで跳べるだろうか。インドネシアから来たしなやかな鳥人たちと張り合って――。
 きっとク・ナウカの俳優たちの体内で、インドネシアの古代寺院の廃墟で『マハーバーラタ』を上演したあのときの、千年前の風がからだを吹き抜けるときの震えがあばれ出すに違いない。
 ク・ナウカの演出家として、それは僕には怖ろしいことだ。ク・ナウカの俳優が、僕の知らないところへ行ってしまう!僕の知らない彼方へ!
 だが、見たい。


<テアトル・ガラシ プロフィール>
テアトル・ガラシは、1993年12月4日にGadjah Mada大学の学生であったYudi Ahmad Tajudin、Y. Kusworo Bayu AjiおよびPuthut Yuliantoによって設立された。創立期は大学をベースにした活動を中心にしていたが、創設者三名はその創造活動を大学内に限定しないという点で意見の一致を見、グループに自由な創造の場を与えた。その頃すでにインドネシア国内のさまざまなアーティストと創造活動を繰り広げていたYudi Ahmad Tajudinの尽力により、ガラシはあらん限り広義の「芸術的領域」での創造へと乗り出していった。この方向性は、自分たちの技術的力量、美的展望を拡充していきたいとするグループの目標を補完するものだった。1999年にガラシはGadjah Mada大学との提携を打ち切り、現在は独立したグループとして、実験的演劇創造の場としての活動を行っている。

2006年4月21日(金)〜4月24日(月)

※受付開始は開演の1時間前、開場は開演の15分前
森下スタジオ Cスタジオ
前売:
3,000円
当日:
3,500円
ユースチケット:
2,000円
(25歳以下、劇団予約のみ、枚数限定)

※『ムネモシュネ』とのセット券:5500円(劇団予約のみ、枚数限定)
※ユースチケットは劇団のみ取扱
※当日券の有無は、劇団までお問い合わせください
ク・ナウカ  03-3779-7653

主催  特定非営利活動法人ク・ナウカ シアターカンパニー
共催  独立行政法人国際交流基金
助成  財団法人セゾン文化財団