Ku Na'uka Theatre Company

本公演は終了いたしました。
ご来場ありがとうございました
今回はすこし特別なご案内をさせていただきます。来たる四月、僕は静岡県舞台芸術センター(SPAC)の芸術総監督に就任することになりました。以後僕の演出作品はSPACで発表することになり、きょうご案内する『奥州安達原』のあと、ク・ナウカの俳優たちはソロ活動期間に入ることになります。

僕はク・ナウカの俳優たちと、夢じゃないかと思うくらい、恵まれた日々を過ごしてきました。旗揚げしてわずか17年でこれほどの作品を生み出せるようになったことを深く深く感謝しています。
しかし、僕らがいちばんやってはいけないことは、自己模倣と自己反復です。ある程度のことが出来るようになったいま、改めて自分を壊さなければならないと感じます。そうして自分を見つめ直し、さらに「この先」を歩くことが、僕らの存在意義だろうと思います。

いつのまにか僕らみんなを護る繭のようになったク・ナウカ。ひとりひとりがその母船を離れ、自分に「必要な」表現とは何かを考え続け、その末にお互いが、自分の表現活動に欠くことの出来ない相棒として再びいまのメンバーを発見する・・・そんな再会が訪れることを、僕は心から楽しみにしています。

06年12月 宮城聰拝

ク・ナウカ
奥州安達原
OSHU ADACHIGAHARA
作:近松半二、竹田和泉、北窓後一、竹本三郎兵衛
台本・演出:宮城聰
2007年2月18日(日)(学生限定プレビュー公演)
2007年2月19日(月)〜27日(火)
文化学園 体育館 特設舞台

美加理、吉植荘一郎、大高浩一、野原有未、萩原ほたか、
寺内亜矢子、本多麻紀、大内米治、片岡佐知子、
鈴木陽代、桜内結う、星村美絵子、加藤幸夫、牧野隆二、
赤松直美、奥島敦子、大道無門優也、山本智美、池田真紀子、
石川正義、本城典子、塩谷典義、高澤理恵

ク・ナウカ美学の極北へ!

一点の星無き暗中を摸索に摸索。右往左往の道一筋に磨きに磨いた十七年。
遂に至った極点は、「これもまた美か!」…鬼女伝説。
底光りする黒檀の身体を、なおも磨いて鬼気迫らしむ、ク・ナウカこそは鬼か蛇か、アソレ鬼か蛇か
怖い。恐ろしい。でも見たい。かも。かもじゃない。
突き詰めたところにだけ咲く花を求め、どこまで分け入るのか孤高の山野行。

二〇〇七年二月。歴史にくさびが打ち込まれる日。
『奥州安達原』、ひとつ家(や)の段。

☆☆☆

ク・ナウカ俳優三十有余名はこののち「ソロ活動期間」に入ります!
いつの日にかまたあい見ん!
さきくませ吾が友!!

●ク・ナウカ
90年、演出家宮城聰を中心に美加理、阿部一徳、吉植荘一郎らにより結成。一つの役を〈語る〉俳優と〈動く〉俳優の“二人一役”で演じる独自の方法をもちいて古今東西の戯曲を上演し、演劇の持つ根源的な力=非日常的なエネルギーを炸裂させることで世界各国の観客を魅了してきた。代表作に『サロメ』『天守物語』『熱帯樹』『欲望という名の電車』など。特に『王女メデイア』は01年の世界ツアー以来国際学会でも頻繁に取り上げられ、ク・ナウカの評価を決定的にした。03年、東京国立博物館東洋館で上演した『マハーバーラタ』で第3回朝日舞台芸術賞受賞。05年、ク・ナウカでの演出活動により宮城聰がアサヒビール芸術賞受賞。なお07年4月より宮城聰が(財)静岡県舞台芸術センター(SPAC)の芸術総監督に就任するのに伴い宮城演出作品はすべてSPACで発表されることとなり、ク・ナウカはNPOとしてのミッションであるアウトリーチ活動をおこなう俳優集団として活動することになる。今回の『奥州安達原』はその節目の公演である。

日程: 2007年2月19日(月)〜27日(火) 各日19:30開演

※2月18日(日)プレビュー公演(学生限定)
※開場は開演の15分前、受付開始は開演の1時間前
※上演時間約90分(途中休憩なし)

会場: 文化学園 体育館 特設舞台

JR(山手線・中央線・総武線・埼京線)、小田急線、京王線
地下鉄(都営新宿線・都営大江戸線・丸ノ内線)
「新宿駅」南口より、甲州街道に沿って初台方面へ徒歩10分

 
一般前売開始=2007年1月13日(土)10:00より
■チケット料金
一  般(全席指定) 6000円
ユース席(25歳以下) 2500円
(25歳以下・劇団予約のみ・チケットお受取りの際、身分証明書をご提示いただく場合があります)
○ステューデント・ナイト(学生限定プレビュー公演)(18日)
 (2500円・年齢不問・劇団のみ取扱・学生証をご持参ください)
○各種割引:ファイヤーマンズ割(20日)/フィッシャーマンズ 割(21日)/ティーチャーズ割(22日)
(各2500円・劇団予約のみ・チケットお受取りの際、身分証明書をご提示ください・平服でお越しください)
ご予約いただきましたユース席および各種割引チケットは、 当日受付にてお渡しいたします。
2DISKつき(稽古風景DVD+朗読CD*):ご来場いただきましたお客様にもれなく差し上げます。
*朗読CDには、阿部一徳『高瀬舟』・本多麻紀『月下の一群』・鈴木陽代『よだかの星』を収録
☆『奥州安達原』のチラシ(紙ジャケット)をお持ちのお客様は、公演当 日会場にご持参ください。
当日会場にてお渡しいたします朗読CDおよび稽古風景DVDは、この 紙ジャケットに保管していただけます。チラシをお持ちでないお客様に は当日お渡しいたしますので受付にてお声掛けくださいませ。
今回は特に、ふだんあまり劇場に足を運んでいらっしゃらない方々、しかもこの国の社会と生活を力強く支えていらっしゃる方々が芝居を見るきっかけになればと、「ファイアーマンズ割」「フィッシャーマンズ割」「ティーチャーズ割」を設けました。これをきっかけにひとたび芝居を見ていただければ、芝居見物が大のオトナの趣味として捨てがたいものであることを十分に知っていただけることと思います。
台本・演出=宮城聰
照明=大迫浩二
空間=木津潤平
衣裳=高橋佳代
音響=AZTEC(水村良・千田友美恵)
ヘアメイク=梶田京子
演出助手=大西彩香
小道具=中里有
舞台スタッフ=司田由幸、山縣昌雄、森山冬子
舞台監督=岩崎健一郎
テクニカルスーパーバイザー=堀内真人
宣伝美術=野口美奈子
WEBデザイン=井上竜介
制作=大石多佳子
時は平安後期、陸奥国安達原(あだちがはら)にぽつんと立つあばら家では、老女岩手(いわて)が糸を縒っている。道行く旅人は岩手の灯籠の明かりに誘わ れ、一夜の宿と引き換えに持ち金と命を奪われる。岩手の目的は、源義家(みなもとのよしいえ)に追討を受け命を落とした夫安倍頼時(あべのよりとき)の無 念を晴らし、息子である貞任・宗任を中心に一族を盛り立てることだった。その為に天皇の弟環の宮(たまきのみや)の乳母匣の内侍(くしげのないし)と内通 し、幼い宮を誘拐し、奥州にこそ内裏ありと奉らんとしたのだが、環の宮は声の出ぬ病を患っていて皇位にはつけない。病を治すには生まれる前の胎児の血を飲 ませるより他に無いと信じた岩手は、身重の女の訪れをひたすらに待つ。
一方、都での権謀に巻き込まれ義家の軍を追放になった志賀崎生駒之助(しがさきいこまのすけ)は、環の宮を探して陸奥国までやってくる。幼い頃に生き別れた母親を探したいと、旅に連れ添う妻の恋絹(こいぎぬ)の腹には子が宿っていた…。
壮大すぎる物語を作り上げることで絶望を逃れ、みずからその登場人物となることで民族的アイデンティティをたもとうとする人間たち。近松半二の描く被征服民族の悲劇は空恐ろしいほどに今日に直結し、近代演技はむろんのこと文楽・歌舞伎をもってしてもあらわしつくせぬ闇をはらむ。
---能から大衆芸能まで伝統演劇の本質を一貫して探究してきたク・ナウカが、
いまこそ世に問う<古典を超えた古典>!

主  催: 特定非営利活動法人ク・ナウカ シアターカンパニー
特別協力: 学校法人文化学園
平成18年度文化庁芸術創造活動重点支援事業